2022年10月27日(木)+42737人

図書館から「お渡しの準備ができました」のメールが入った。
3月中旬に予約し、7ヶ月待ちでやっとだ。2021年度カンヌ国際映画祭で日本映画初の脚本賞,第87回ニューヨーク映画批評家協会賞では、日本映画として初めて作品賞,ロサンゼルス映画批評家協会賞と全米映画批評家協会賞でも作品賞を受賞した。じつはオイラは映画好きで、「・・・賞」モノは必ずチェックするミーハーで、今回は敢えて、映画は見ないで《原作を読んでから》と予約しておいた本「ドライブ・マイ・カー」の原作が掲載されてる短編集だ。
早速、昼食後の太陽が燦燦入りこむ自室で、半袖のTシャツで、もう20年来の古びたリクライニングチェアに座り読む。内容は黄色のサーブのなかでの主人公と運転手との会話と回想での物語だ。
一回目は「あっという間」に読んだ。いつも一度目は流れを速読して、二度目から熟読するのがオイラの読み方だ。彼の本は相当数読んでるが、一回だけでは理解できない。
‐‐‐主人公の家福は俳優で、台詞の練習をするために舞台に出演するときは車を運転して仕事場まで行っている。ところが事故を起こし、運転免許停止となった。同時に検査で緑内障の徴候が見つかり、事務所からも運転を止められる。そこで自動車修理工場の大場が、ぶっきらぼうで無口な運転手みさきを推薦し、黄色のサーブ900コンバーティブルの専属運転手となった。
家福は助手席に座っているとき、亡くなった女優の妻のことをよく考えた。妻は時折、彼以外の四人の男と寝ていた。妻が亡くなって半年後、テレビ局で高槻という俳優と顔を合わせた。家福の知る限りでは、高槻は妻が性的な関係を持った男たちのリストの末尾に位置していた。家福は「なぜ妻がその男と寝なくてはならなかったのか」興味を持ち、 翌日、二人は銀座のバーに行き、友だちになった。以後、都内のあちこちのバーで酒を飲み、あてもなく話をした。
その後の夜、二人は路地の奥にある目立たないバーで飲んでいた。高槻が話した言葉は、曇りのない、心からのものとして響いた。ほんの僅かなあいだかもしれないが、その隠された扉が開いたのだ。それが演技ではないことは明らかだった。それほどの演技ができる男ではない。あるときから急にいろんなことがどうでもよくなってしまい、そのうちに彼は高槻と連絡もとらずまったく会わなくなる。
しかし、結局家福には「奥さんがどうしてその人(高槻)とセックスしたのか。どうしてその人でならなかったのか」つかめなかった。これに対して、みさきは「奥さんはその人に、心なんて惹かれていなかったんじゃないですか」「だから寝たんです」「女の人にはそういうところがあるんです」「そういうのって、病のようなもんなんだ」と言います。---
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