如月***上弦の月
2023年02月27日(月)+5330人
図書館へCDと多和田葉子の「犬婿入り」を返したあと、一か月ぶりに参道を左手の氷川神社先の大宮公園梅林へむかう。月曜日の午後三時過ぎとあって、神社への参道は閑散としている。が、オイラにとっては願ったりだ。
境内を避けて、大宮公園入り口からの坂を上り、小動物園には向かわず、右手の大宮公園野球場内を通り、第二公園へ向かう。この球場は1934年11月29日、全米チームはベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグらを擁し、全日本は後に読売ジャイアンツ(巨人)に入団するヴィクトル・スタルヒンが8回から2イニングを投げた「第2回日米大野球戦」が球場開きを記念して開催された球場だ。
時代が遡って、現小動物園から児童遊園地にかけての一帯は、明治21年ごろ、高級料亭「万松樓(ばんしょうろう)」のあった場所で、俳人・正岡子規の随筆『墨汁一滴』の中に、明治24年の9月、当時東京帝国大学の学生であった子規が試験勉強のため、この料亭を訪れ、この地を大変気に入り、友人の夏目漱石を呼び寄せたとのくだりが書かれていたり、また、『創作断片』の中で大宮公園への関心の高さを書き記した樋口一葉は、明治25年に公園を訪れています。その他、永井荷風、国木田独歩、森鴎外、正宗白鳥、与謝野鉄幹等が作品の舞台としています。永井荷風の『野心』は、大宮公園が舞台となっている、由緒ある立て札がある。
第二公園への高架橋を超えて梅林へ向かう。が夕陽が公園を覆いだして、ぼやぁ~とした景色の左隅の梅林が望める。3年ぶりの「梅まつり」の「陶器市」も併催しているが、夕暮れ時とあって、期待外れの観梅となった。
それでも、と夕陽を避けてわずかな青空を背景に白梅を見上げると、半月。月と太陽の黄経差が90°となる上弦の月が出ていた。
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