神無月***万葉の花見
2020年10月5日(月) 曇天
10月に入ってだいぶ涼しくなり、猫庭の花水木も紅く染まって、来年の春に咲く小さな宝珠のような花芽が小枝の先に付いてきた。昔の猫庭には、今頃楽しめる、和もの植物の紫式部の実や、萩の花があったが、狭すぎる庭なので、処分してしまった。
小枝が広がる植物なので、町なかのこの近辺にも殆ど見られないので、昼ランニングしながら新都心街周辺を散策してみると、線路沿いの官公庁の植栽された一角にあった。まだ3分咲くらいだがたしかに萩だ。秋の七草だ。
◆万葉集に見る「花見」の花は?
現在、花見と言えば花は桜だが、万葉の時代の花見は違っていたようで、桜と思われる花の歌が40首あまりだが、「花見」という言葉が使われている花は二種類で。一つは梅、そしてもう一つは萩だ。
万葉集の歌が詠まれた時代の梅は、珍しい植物で、そのほとんどは貴族の庭園に植えられていたものだったから、梅の花見は一部の限られた人達だけの花見だったと考えられ、対して、萩は山野(主に開けた草地)に自生する植物だったので、萩の花見は野外での花見だったはず。そして、誰でもが楽しむことの出来た花見が、萩の花見だったと考えられる。
萩は、万葉集には160種類以上の植物が登場するそうだが、その中で登場回数が最も多いのが萩なのだそうで、その回数は142回。今は「花といえば桜」といわれる桜だが、万葉集での登場回数は萩の1/3にも及ばないのだそうだ。また、山上憶良の詠んだ有名な秋の七種の中にも数えられている。確かに萩の花は派手さはないが、よく見れば清楚な花で、色も鮮やか。もっと注目されてもよさそうな気がする。
◆秋風は涼しくなりぬ馬並(な)めて いざ野に行かな芽子(はぎ)が花見に(万葉集 巻10 第2103)
この歌からすると馬を並べて野外の萩の花を眺めに出かけたようで、萩は背の低い木ですから、馬から眺めるとすると見下ろす形での花見となったのでしょう。きっと朝露に濡れた草を踏み分けての花見だったことでしょう。(http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0630.htm)
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